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「…ところで、恭ちゃん?」 「ん?」 「『厄介な仕事』っていうの、微妙にウソやんな?」 ぶはっ! 「…………。なんで、解った?」 「解らいでかー。オレを誰や思てるねん。」 全くコイツは…! 昨日まで死にそうな顔してたクセに、元気になった途端…コレだ。 「あんまり、仕事て言う雰囲気や無かったし。オレが「どうしてたん?」て 聞いた時に目が泳いでたし。それに、ちょっと間あったやん。」 「お前よく見てるなあ…」 「で、ほんまは何やったん? はーい、せんせー! ウソ吐くんは良ぅないと思いますけど〜。」 「うーん…。」 どうしよう。口止めされてたんだけどなあ…。 「あ、言いた無かったら別にええけど。」 「いや…、まぁいいか…。」 もう終わった事だし。 あ…、でもコイツ連れて行けなかったの怒るかな…? 「実はな…、突然『鳴海探偵事務所の慰安旅行に行くぞーっ!』って 所長に温泉旅行へ強制連行されてたんだよ…。 俺、哲平も誘おうかって言ったんだけど、 『はっはっはっは!!ワトスン君は正規所員じゃないからなあ〜、 経費が出せないんで今回は悪いけどナイショ、な!』って言われてさ」 「……………。」 あ、やっぱり置いてけぼりにしたのマズかったかな…。 ふいに哲平が真剣な顔して黙り込んでしまった。 やばいなあ…。絶対、コイツも行きたがると思っ… 「あ、あ、あ、あのオッサンーーーーーーっ!!!!」 うわ!? なんでいきなりテンション上がってんだ!? そんなに行きたかったのか?と思って慌てて謝る。 「いや、ごめんって。いつも捜査に協力とかしてくれてんのにな、 置いてけぼりにして悪かったよ…。でもな、うちの事務所の台所事情を 考えるとさ、俺もあんまり無理言えないかなあって…。」 「……………………はあ…。」 哲平が、深々と溜め息を吐く。 まあ、俺が居ない間にあったコトを考えると… やっぱり連れてってやりたかったなあとは思うけどさ。 「それに、『仕事』っていうのも満更ウソじゃないんだ。 ご隠居とかさ、市内の役員さんとかの親睦会とも兼ねててさ…。 兼ねてるっていうか、まあウチの事務所はおまけで連れてって貰った みたいなもんなんだけど。」 「ご、ご隠居まで…!? ああ、そう言えばここ数日「用事があるから 暫く留守にする」って言うてたな…。せやったんか…。大将はともかく、 何でご隠居まで…。ううう、オレにも言うてくれたらええのに…。」 「えっと…それが…。その旅行のスポンサーさん?の意向で…。」 「スポンサーさん?」 「ああ、何か知らないけどその親睦会にはスポンサーさんが付いてて…。 正式招待された人しか来ちゃダメだって事らしい。えっと…、それで 電話もさ、『スポンサーさんが嫌がるから、お前…絶対ワトスン君には 連絡取るなよ?』ってキツく言われててさー。何でかわかんないけど。」 「ちっ! 余計なコトを…!」 「まあ、わざわざ「今、旅行に来てます」って自慢みたいになるのも 何だかなあって思ったし…。」 「うーん…それもそやけど……。 「連絡も禁止」って、参加者に干渉しすぎな気ぃもするけどなあ…。 で、そのスポンサーさん…そいつって何者なん?」 「どっかで見た事ある人なんだよなあ…。誰だろ。 あ、お前心当たり無いか? 痩せ型でメガネで軽くウェーブのかかった 髪の毛を一つに纏めてる人なんだけど。あ、ヒゲもあったなあ…」 「ちょ…!? そ、それ…、まさか…ウェ…!!?」 「そうそう、名前は威田さん。奈々子ん家の隣に住んでるらしいぞ。」 ぶーーーーーーーっ!!!!
「あ、あ、あ、あいつかーーーーーっ!? ……っていうか恭ちゃん何で気付いてへんねんー!!」 「は? 何が?」 「しかも温泉て!めっちゃヤバイやん!」 「温泉は良かったぞ? 景色は綺麗だし、ご飯も美味しかったし。」 「そうやのうて!! 色っぽい浴衣姿とか湯上りの火照った肌とか! 恭ちゃんめっちゃ危ないやろ!!」 「…なんで俺が危ないんだよ…。 俺、そんな犯罪に走るように見えるのか…?」 ちょっと…いや、かなりショックなんだけど…。 「ああもう! 違うて! 恭ちゃんが犯罪者なんやのうて、 犯罪者がキケンなんやってー!!」 「えっと…、意味解んないんだけど。犯罪者は普通、危険だろ?」 「あかんって!マズイって!!めっちゃキケンが危ないんですーっ!」 「日本語になってないぞ…?」 「………はっ!そうか!嫌がらせやな!? わ・ざ・と・オレを連れてけへんように仕向けたんやな!?」 「えっ!? そ、そんなコトしないよ!」 「あ、違う違う!恭ちゃんがそんないけずな事する訳ないやんっ! ああもうクソ! 暢気に寝込んでる場合と違ごたんやなっ!? …… あの野郎…っ!!」 ……何がそんなに悔しいんだろう……? やっぱり、哲平が大変な時に、俺達だけのんびり旅行とか温泉とか 行ってたからなぁ…、うーん…。 「そんなに行きたかったのか…。ごめんな?」 「あ、それは恭ちゃんの所為やあらへんけど…。」 「また何かあったら、今度は絶対誘ってやるからな?」 よしよし、と頭を撫でながら慰める。 ごめんなー、俺達だけ遊びに行ってて…。 「え! 誘うって、お、温泉?」 「温泉かどうか解んないけど…。」 「ほ、ほんまに!?」 「ああ、今度は絶対一緒に行こうな。」 「……ぃ〜〜〜〜よっしゃあッ! 絶対な! 約束やで! 約束したからな!?」 「…はいはい。」 あれ? 機嫌直った。 哲平がそんなに温泉好きだって知らなかったなあ。 でも慰安旅行って年一回かな…?と思いつつ………まあ、いいか。 【END】
次回! 必見! 湯煙の向こうに美人探偵は見た!の『温泉編』に 続…きません(笑) |
【あとがき】
…と、いう訳でおまけの恭ちゃんバージョンでした☆
ちなみに、書き損ないましたが「威田さん(笑)と戦う所長」とか
「無口なK戸さん(仮名)&爆笑する所長」とかのネタもありました。
とってもキケンな位置に居る恭ちゃんは、実はご隠居&静ちゃんの
側にずっと居たので、終始安全圏だったりします(笑)
まあいざとなったら所長が何とかしてくれそうだし。
威田さん(笑)は、も・ち・ろ・ん「紳士」の時に邪魔された
嫌がらせをしてますよ♪ 怖いですねー!!
まだまだ油断ならないぞ! もっと頑張れ、哲平ちゃん☆
ではでは、これにて「MGP」は終了です。
長い間お付き合い戴きまして、本当にどうも有難うございましたっ!
(2005.12.24 UP)