■ 裏MGP・アナザーワールド2 ■
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■フキフキ
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「恭ちゃーん、汗かいたー風呂入りたいー喉渇いたー 寝てんの飽きたーっ!」 「……お前、全然大人しく寝てないじゃないか……」 「せやかて、じっとしてんの嫌やねもん。 恭ちゃん来るまでずっと寝てたしええやん」 「良い訳あるか!」 「えー、オレもう元気やって〜。 何なら証明してみせよか?」 「えっ!いや、いい! あー、喉渇いたって言ってたな! ちょっと待ってろ。何か持ってきてやるから。 立ち上がるんじゃないぞ! 大人しく寝とけよ! 部屋から出たら怒るからな!」 「……そんなに何度もクギ刺さんでもええやんか……」 「お前、油断してると予想もしない事しでかすだろ!」 「…なんで決め付けてんねん……」 |
流石にちょっと言い過ぎたかな、と 思わないでも無いんだけど。 甘やかすと調子に乗るだろ、お前は。 無理して動き回って…、これ以上悪化したら困るだろ? 早く元気になって欲しいと思ってるのは、 ──────俺もなんだから、な。 タオルを水に浸してレンジに入れ、待つ事数分。 その間に冷蔵庫から取り出したスポーツドリンクを グラスに注いで氷を一つ浮かべる。 温かいのと冷たいの、二つを手早く用意して 哲平の部屋へと足早に戻る。 何度云っても『もう元気だ』と言い張って 起き上がろうとするから。 じっとしてるのが性に合わないんだろうけど、 体調が芳しくない時くらい大人しく寝てて欲しい……。 ──────でも。 あいつを大人しく 寝かせておくなんて……無理、なのかな。 「哲平、入るぞー」 「んー」 小さく溜息を吐いた後、カラッと小気味良く襖を開けた。 |
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………って、あれ? さっき迄、起き上がってたはしゃいでいた哲平が…。 今は顔まで隠れるくらいに布団を引っ張り上げて、 大人しく横になってる。 「…逆に不気味なんだけど」 「なんでやねん!」 いや、何か企んでそうで。 「恭ちゃんが大人ししとけ言うから、 ちゃんと素直に寝とるんやんかー!」 「いや、まあそれで良いんだけど…。 ホントやけに素直だな…?」 「恭ちゃんが看病してくれとるから、な」 「いつもそうだと俺も余計な心配しなくていいんだけど」 「まあいいや。はい」 「ん」 返事はするけど、グラスを受け取ろうとしない。 |
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「………哲平? そのままだったら飲めないだろ?」 「せやから、恭ちゃんが言う通りに 大人しゅうして寝とるやん?」 「………? いらないのか?」 「いるて!ノド乾いたー!恭ちゃん飲ませてv」 …こいつ、素直に言う事を聞くフリをして、 徹底的に甘える気でいるらしい。 |
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「起き上がって自力で飲め」 「恭ちゃん、つめたいー! 哲平ちゃんはこんなに病気で苦しんでるのにーっ!」 「ウソ吐けよ!」 「哲平ちゃんは高熱で起き上がれへんねん…。 恭ちゃんが飲ませてくれな死んでしまうかも解らんやん」 「…とてもそうは見えないんだけど?」 「ちぇー、口移しで優しく介抱して欲しいのにー」 「く…っ!! するか、馬鹿っ! 起きろっ!」 「え!? もう起き上がってもええん?」 「違うだろ! なんでそう極論から極論へ走るんだッ!」 「えー」 「えーじゃない!」 |
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「なーなー、ところでそれ何?」 「…濡れタオルだよ。冷たく無いように温めて来た。 お前、汗かいたって言ってたから着替えるついでに 拭いてやろうかと思っ…」 がばっ!! 全部言い切る前に勢いよく哲平が跳ね上がった。 「流石恭ちゃんやな! 風呂もええなーと思てたん やけど、恭ちゃんがフキフキしてくれるやなんて機会は 無いもんな! そうかー、凄いな!」 …どの辺りが「流石」で「凄い」のか 良く解らないんだけど……、 何か異様に哲平のテンションが上がったのは解る。 |
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「…発熱して体温調節が狂っているときに高温の お風呂に入ると熱性痙攣を起こす可能性があるんだよ。だから、もう少し熱が下がってからの方がいいかと 思ったんだけ…ど………元気そうだよな、お前」 熱はあると思う。 俺が来た時は本当にぐったりとしてて。 もしかしたらこのまま目を開かないんじゃないかと 思って………、ちょっと怖かった。 でも、今はそれを上回る元気さで、 一見平気な様にも見える。 …なんでこんなにハイテンションなんだ? 「オレは風呂でもええけどな。一緒に行こ〜」 「一人で入れ」 「しくしく、恭ちゃん冷たい…。 オレが風呂場で倒れたら大変やんかー。」 「死体は検分してやるから安心しろ」 「恭ちゃんのいけず…」 |
「ま、でもやっぱ折角やしフキフキもして欲しーから、 フキフキして貰ろてから風呂やな!」 「風呂に行く必要無いだろ、それ」 軽口を叩いてる間に、着替えとタオルを用意しておく。 「さ、用意出来たぞ。脱げ」 「大胆やね、恭ちゃんv 恭ちゃんが優しく 脱がしてくれるんでもオレは一向に構わ…………、 いや、すぐに用意します!ごめんなさい!」 …言いかけて、途中から何故か素直になった哲平が 手早くボタンを外していった。 |
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「ちょっと冷めちゃったかな…。寒くないか?」 「大丈夫〜。あー、サッパリすんなー」 じっとしている哲平の身体を丁寧に拭いていってやる。 「結構汗かいてたな…って、 あっ、こら!動くんじゃない!」 「…やって〜、めっちゃくすぐったい…」 「我慢しろ! 暴れるな!」 本当に、ちっとも大人しくしてないなあと思いながら 腕から手の先までタオルを滑らす。 指の間まで拭いてやっていると、視線を感じて…。 ふと顔を上げると、今にも笑い出しそうなのを 必死に堪えてる感じの哲平と眼が合った。 |
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「………何で笑ってるんだ?」 「恭ちゃんが可愛ぇから。」 「なんでだ! 何もしてないだろ?」 「そんな細かい所までしてくれんのは 流石恭ちゃんやなと思て…。愛されてるよなあ、オレ」 「な…っ、何言って…っ」 「オレ以外にそんなんせぇへんやろ? 熱出して寝込んでる成美ねーさんとか 京香ねーさんとかの身体を拭いたったり…」 「出来るか、馬鹿っ!」 「ほな、やっぱオレだけや」 満面の笑顔でそう告げられて。 ……今更ながら、急に恥ずかしくなった。 |
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「あ…っ、後はもう自分で出来るよな!? えーと、俺ちょっと…」 …ちょっと、何だろう。何の用事も浮かばないまま、 取り合えず立ち上がろうとして…。 「恭介」 でも。 逃げようとする俺を、お前がそう簡単に許す筈は無くて。 「……ぁ…っ」 強引に引き戻されて 「……んん…」 そのまま深く口付けられた |
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「今度はオレが……したるから……」 「や…、な、何…を、」 「ええコト…」 「ちょっと…、て、哲平っ! 待っ…」 「待てへんて」 「…ん、や、あぁ…っ」 …ばしゃ 慌てて、暴れて、抵抗しようとして。 勢い余った所為で グラスをひっくり返してしまった。 |
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「あ…っ、ご、ごめん!」 「酷いわ、恭ちゃん…。」 「お、お前がじゃれついて来るからだろ…って、 そんな事言ってる場合じゃなかったな。 ちょっと待って、タオル…」 慌てて拭く物を探す俺の手を掴まえて、 そのまま哲平に引き戻される。 「んー、まあええわ。ついでやし、このまま行こか」 「え…? う、うわぁっ! 離せっ!」 哲平は病人だとは思えない素早い動きで、 軽々と抱え上げた俺ごと立ち上がった。 |
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「恭ちゃんも濡れてしもたから、このままやったら 風邪ひいてまうやんな!一緒に風呂入ろな〜!」 「お前がくっついてるから俺まで濡れるんだろっ! もう…、いいから降ろせ、 病人がそんな事するんじゃないっ!!」 「大丈夫やて、恭ちゃんを落としたりせえへんから。 安心して掴まっとき〜」 「俺はどうでもいいんだよ! いいから離せこの馬鹿ーッ!!」 ・ ・ ・ ・ ・ |
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ぬくぬくしましたv
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『フキフキ編』と『お休み編』の間には 謎の空白時間がございます(笑) 真改さま より、ラヴラヴな行間のSSを戴きましたので こちらも是非是非ご覧下さいませ〜! 真改様、素敵なSSをどうも有難うございます!! (お帰りはブラウザバックでお願いします) |
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■お休みなさい
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やっと…大人しくなった哲平の寝顔を眺めながら。 「疲れた…のかな。」 そういえば、普段こいつの寝顔を見る機会なんて ほとんど無いなぁ…と思いながら。 柔らかい髪を撫で、 そのまま額にそっと手をあててみると…、 まだちょっと熱を持ってる気がする 「無理…すんなよ? 心配するんだから…」 本当に言う事聞かないし。 体調悪くても何故かテンション高いし。 「放っとけないだろ」 |
それにしても…俺も疲れた。 僅かに乱れた布団を掛けなおしてやって…。 俺も哲平の隣に潜り込むと 「恭ちゃ…」 哲平の腕が伸びてきて 自然と俺を抱きしめて来る…。 「ん。ココにちゃんと居るから…な?」 そっと背中を撫でてやると… ほっと安心した様に寝息を立てる。 |
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「お休み、哲平」 また明日な。 元気になったら、暫く逢えなかった分の 埋め合わせをしよう。 美味い物でも食べに行くとか、何処かに出掛けるとか、 色々話をするとか。 お前は、ただ一緒に居るだけでいいって 言うかもしれないけど。 だから、早く元気になれよ? ……まあ、元気になりすぎても困るんだけど。 END
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最新↓
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裏コミ2「目覚める前に見てた夢は」
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■蛇足エピソード「おはようさん」 |
「恭ちゃーん、なあ、起・き・て〜!」 「………ん…?」 「朝…っていうか、もう昼近いで?」 「……んー……ねむい…」 「ぎゅーて思いっきり抱き付いて来てくれんのも 嬉しいねんけど…、そろそろ起きて欲しーな〜…?」 「………ん…っ、な、何してるんだ、お前は…っ」 「おはよーのキス」 「…ゃ…、わ、解ったから! 起き……」 「んー、まだ寝惚けとる?」 「…もう起きた」 「ほな、スッキリ目覚めたとこで、もっかいな!」 「何かもう1回だ……っ、こらぁっ!」 ……やっぱり、元気になりすぎだ、お前。 |
■あとがき
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やっと終わりました、この話。 えーと、調べてみたらMGP(表)がスタートしたのが 2005年10月くらい。大した内容では無いのですが、 一体製作に何ヶ月掛かってるのよ…。 暫く放置期間が長かった所為もあるんですけどね。 絵板連載物は結構その場その場で展開考えながら 勢いとノリで書いてますので、よく探してみると 矛盾点が一杯あると思います。 ……ま、見返す勇気も無いのですけど;;; ではでは、長い間お付き合い有難うございました〜! 【2006.07.31UP】
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